5日(金)

北部
南部

6日(土)

北部
南部
  • ただいま放送中
  • 04:00
  • テレビショッピング
  • 次の番組
  • 04:30
  • 佐世保発!テレビショッピング
奈良のニュース
安倍元総理銃撃事件 被告人質問最終日の主なやり取り 初めて安倍氏遺族への謝罪述べる
2025.12.04 21:05
 4日、開かれた第14回公判は、山上徹也被告(45)の最後となる5回目の被告人質問が行われました。きょうも裁判の後半から被告人質問が行われました。これまでで山上被告が答えた内容の確認のほか、より詳細な心情が語られ、被告人質問が終わりました。主なやり取りは以下の通りです。


【事件を起こすまでの被告】

●弁護側からの質問

弁護士「(事件を起こす前の)この頃のあなたの預金残高は」

山上被告「20万円くらいあったと思います」

弁護士「借金は」

山上被告「200万くらいかと」

弁護士「あなたは2018年に岡山に教団幹部の襲撃のために向かい、のちに安倍元総理銃撃事件を起こしています。あなた自身の異常な意思の強さについてはどう思いますか」

山上被告「それが自分の人生の意味だと決めていたからだと思います」

弁護士「いつ決めましたか」

山上被告「兄が亡くなってしばらくして、母と電話しました。その頃かと思います」

 ※被告は11月25日に行われた2回目の被告人質問で、兄の死後に母親と電話した際に、母親が兄の死を過去のことのようにとらえていたことや、兄は献金のおかげで死後の世界で幸せに暮らしていることになっていることにこれまで感じたことのないほどの激しい怒りを感じ、幹部の襲撃を企てるようになったと話していた。

弁護士「それまでは自分の人生を生きる気があったのですか」

山上被告「はい」

弁護士「犯行を起こすまでの間、自分を止めようとして起こした行動はありますか」

山上被告「2018年に幹部の襲撃を失敗したのち、自分はいずれまた襲撃に行くだろうと思っていた。(このとき)精神科医に相談していれば止められたのではないかと思う」

弁護士「止められない自分を止めたかったのですか」

山上被告「はい」


【事件を山上被告はどうとらえているのか】

●弁護側からの質問

弁護士「この事件を起こした目的を簡潔に言うならば」

山上被告「兄など家族の被害への報復といいますか、うちの家族も旧統一教会の被害の一例だと思った」

弁護士「あなたが引き金を引いた時の心境について教えてください。精神鑑定を行った医師によると、あなたは『神のみぞ知る』と話したと証言していましたが、それはどういう心境ですか」

山上被告「自分の作った銃の威力は、本物の銃に比べて相当威力が低いと思っていました。必ず命を落とすとは思っていませんでしたので、自分が決めたこと、人生の意味、旧統一教会に打撃を与えることを実現するために引き金を引くことが、最終的に到達したことだった」

弁護士「結果は、神のみぞ知ると思ったと」

山上被告「はい」

●検察側からの質問

検察官「今も教団に対して恨みがありますか」

山上被告「現在では韓国でも(旧統一教会をめぐる)いろいろなことがあったと報道されているので、以前ほど強くはないですが(あります)」

検察官「事件を起こして良かったと思っているのですか」

山上被告「少なくとも私や、旧統一教会の被害者にとって、そういう面があったと思いますが、全体として考えると一概には言えません」

検察官「安倍元総理の上半身に向けてあなたはパイプ銃を撃った。死ぬことはわかっていたのですか」

山上被告「あたり所が悪ければ、そういうこともあると思っていました」

検察官「事件を起こすことで、報道されたいという思いはあったか」

山上被告「………。その方が…旧統一教会に打撃を与えるという意味では、そういう思いはあったかと思います」

●裁判所からの質問

裁判長「人の命を奪ってはいけないことが、社会のルールであることを理解していますか」

山上被告「それは無論、その通りだと思っています」

裁判長「銃を作っているプロセスや過程で、あなたの中で葛藤はなかったのですか」

山上被告「旧統一教会に対して、特に教団の中心人物に対して、そういった道徳感情を超えてしまった部分がありました。それが安倍元総理に向かったということに関して、安倍元総理が亡くならなければ、殺害されなければならなかったのは間違いだったと思っています」


【謝罪の意思について】

 ※山上被告は被告人質問の中で、安倍元総理の遺族や発砲で損壊させたビルなどへの弁済を行っていないことを明らかにしています。大阪拘置所に収容されている山上被告のもとには、現金の差し入れがあるといい、弁済については裁判が終わってから話を進める考えを示しています。

弁護士「安倍昭恵さんに手紙を送るという話を弁護団でしましたね。どういう話でしたか」

山上被告「安倍昭恵さんが刑事施設で講演したり、犯罪被害者の会で活動しているのを聞いていました。私への強い憤りを表すものではなかったですが、社会的な立場や社会的意義を考えて、そうされていると思いました。なのでそこに謝罪の手紙を送ると、(昭恵さんが)受け取らざるを得ない状態になるのは、本意ではないと思い、その時は(手紙を書くのを)見送りました」

弁護士「裁判で見聞きしたものを受けて、最後の被告人質問で謝罪をすると話していましたね」

山上被告「はい」

弁護士「きのう(12月3日)この法廷に安倍昭恵さんも来ていました。あなたから言葉はありますか」

山上被告「まず、安倍昭恵さんをはじめとして、安倍元総理のご家族には何の恨みもありませんので、安倍元総理を殺害したことで、この3年半つらい思いをされてきたのは間違いないと思います。自分も肉親を亡くす経験をしたので、その点は弁解の余地がなく、非常に申し訳ないことをしたと思っています」

●裁判所からの質問

裁判官「あなたの今後の人生や事件の罪への向き合い方について、何か考えていることはありますか」

山上被告「安倍元総理という方は非常に影響力が大きい方。そういう方を殺害してしまったのは、とても大きな意味があることだと思っております。これが選挙中の襲撃事件の模倣犯(2023年、岸田元総理が和歌山県で選挙の応援演説をしている際、男が手製のパイプ爆弾を投げ込んだ事件)にもつながっているし、(事件に関連して出てきた)陰謀論も自分がやったことに原因があることだと思っていますので、そのことは非常に責任が重いと思っております」

 次回の公判は12月18日に開かれ、検察側の論告求刑が行われます。判決は1月21日に言い渡されます。