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奈良のニュース
1000年以上人間の保護示す 「奈良のシカ」独自の遺伝子型と判明
2023.01.31 18:59

 奈良公園に生息する「奈良のシカ」が、独自の遺伝子型を持つ集団であることが、奈良教育大学などの研究で明らかになりました。

 「奈良のシカ」が1000年以上にわたって人の手で保護されてきたことが科学的に示されました。

 奈良公園に生息する「奈良のシカ」は、国の天然記念物に指定されている野生動物で、古くから春日大社の神の使いとして保護されてきました。31日、奈良教育大学、福島大学、山形大学の研究チームは、奈良公園のシカの起源に迫る研究結果を発表しました。

 研究は奈良県とその近隣3府県に生息するニホンジカ294頭分の筋肉や血液のサンプルを集め、母から子に遺伝するミトコンドリアDNAと両親から遺伝する核DNAの解析を行いました。その結果、紀伊半島のニホンジカには18種類の遺伝子型が確認され、大きく3つのグループに分かれることが明らかになりました。

 研究によりますと、かつては紀伊半島に広く分布していたシカは、6世紀ごろに人間活動の高まりにより生息域が縮小するなか「奈良のシカ」のグループが枝分かれしました。 その後、戦乱により16世紀ごろにシカの生息域はさらに狭くなり、紀伊半島東部、西部の2グループに分かれたとしています。

 現在は紀伊半島東部と西部のグループが混ざる一方で、奈良公園のシカは春日大社などを中心に宗教的に保護されたことで独自の遺伝子型を保ったとしています。

 福島大学 大学院 高木俊人さん「まさに生きる文化財のようなものだと言えると思います。シカの保護や管理を考えるときに、「そもそも奈良のシカってどういうシカなんだろう」と地域の皆さんが考えるうえでの最初の出発点になるような論文として見ていただきたい。」  研究で示された「奈良のシカ」の歴史。奈良の関係者はその重みを受け止めます。

 春日大社・花山院弘匡宮司「世界でも人間と1000頭のシカが共生するのはここだけでございます。神の鹿として大切に守られてきたシカが、科学的にも特別なシカであるということが分かったということには大変驚いている。」

 奈良の鹿愛護会・大川靖則会長「奈良の鹿愛護会はますますこれからその重大性を心にして、奈良のシカと人間とがさらに共生していくような方向で進んでいきたい。」