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奈良のニュース
安倍元総理銃撃事件 被告人質問3日目の主なやり取り 安倍氏狙った理由語る
2025.12.02 20:40
 2日、開かれた第12回公判は、山上徹也被告(45)の3回目の被告人質問が行われました。今回は、山上被告の事件当日の心境や安倍元総理を襲撃しようと思った理由など、事件の核心に迫る質問が被告に投げかけられました。主なやり取りは以下の通りです。


【安倍元総理銃撃事件の前日について】

 ※安倍元総理銃撃事件の前日である7月7日未明、山上被告は奈良市内にある旧統一教会の教団施設が入るビルの外壁に向けて発砲している。2日の裁判では検察側からこの経緯について質問があった。

●検察側からの質問

検察官「旧統一教会の関連施設が入っていた奈良市内のビルの外壁に発砲した理由は」

山上被告「高校生の頃にも、旧統一教会のセミナーのようなものでそのビルに泊まり込んだことがあったので、奈良の教会で真っ先に思いつくのがそのビルだった。自分は旧統一教会に怒りを感じているんだということを示すために撃ちました。旧統一教会の関係者であれば、(教団と)安倍元総理の関係が深いのは日常的に言われていますが、一般社会ではそうは思われていないので、(事件前日にビルを銃撃することで)あらかじめ示しておかないと、違う捉え方をされると思った」

【安倍元総理銃撃事件の当日について】

検察官「安倍元総理が、参議院議員の佐藤啓さんの応援演説をすると知ってどう考えましたか」

山上被告「6月末(6月28日)にも安倍元総理が大和西大寺で応援演説をしたと知っていたので、まさか自分が(岡山県の応援会場で安倍氏の)銃撃に失敗した翌日にそこに来るとは思いもしなかったので、偶然とは思えないような気がしました」

 ※山上被告は銃撃事件に銃身であるパイプが2本取り付けられた銃を使っており、それぞれのパイプに弾が詰められていた。

検察官「(事件前に)銃撃事件に使ったパイプ銃を触りましたか」

山上被告「(トイレで)安全装置を触り、射撃に近い状態にしました」

検察官「いつでも発射できる状態にしたということですか」

山上被告「そう言って良いと思います」

検察官「2発とも撃つつもりでしたか」

山上被告「おそらく1発撃てれば2発目も撃てるだろうと。撃てるなら撃とうと思いました」

検察官「どこを狙いましたか」

山上被告「安倍元総理の上半身だと思います」

検察官「撃つ瞬間は何を考えていましたか」

山上被告「射撃の何かの本で、『射撃の心得というのはとにかく無心で撃つこと』だとありましたので、なるべく何も考えないようにしました」

検察官「安倍元総理以外に当たらないようにする工夫などはしましたか」

山上被告「安倍元総理はお立ち台の上にいて、(自分から見て)撃ち上げるかたちになるので、安倍元総理を越えて飛んでいく際には、人に当たることはないだろうと思った。弾の威力も離れていれば落ちると思っていましたので、90メートル離れたコンクリートの壁(駐車場の外壁)に20mm以上めり込んだのは、自分としては考えがたい結果でした」

【犯行当日やそこに至るまでの心情について 裁判員・裁判官からの質問が相次ぐ】

●裁判員からの質問

裁判員「安倍元総理を見上げるように撃ったと話していましたが、付近にいた自民党関係者に対する被害はどう考えていましたか」

山上被告「事前の試し撃ちの結果から(銃弾の)拡散範囲や撃った距離から考えれば、当たることはないだろうと思っていました」

裁判員「旧統一教会の友好団体に安倍元総理が送ったビデオメッセージについて、あなたは『怒りよりも困った』と表現していた。そこから殺人に至るまでの心境の変化はどのようなものか」

山上被告「困ったというよりは困惑したというか、失望したというか。今後も安倍元総理と、旧統一教会の関係が公に続いていくとすれば、旧統一教会が公的に認められていくことが、私には受け入れがたい。表面に出る強い怒りではないが、頭の片隅や、心のどこかに引っかかり続ける、嫌悪感や敵意というものが徐々に強まっていった。その中で、選挙前に旧統一教会の幹部が日本に来ていたり、演説していたりしたし、安倍さんの元秘書が信者になったという報道を見た。そういうものが高まっていく中で(殺人に至った)ということかと思います」

 ※安倍元総理は6月28日にも近鉄大和西大寺駅前で応援演説をしていて、事件当日である7月8日は2回目の奈良入りだった。山上被告は事件前日の7月7日に岡山県に行き、安倍元総理を襲撃するため演説会場を訪れていた。

裁判員「岡山では安倍元総理の襲撃を結果的に断念した。奈良で犯行に及んだ決め手になったのは」

山上被告「なぜか7月8日に奈良で2回目の応援演説をすることになったり、(当日は)警備も射線を開けてくれたり、犯行が可能な状況ができたと言うのが一番」

●裁判官からの質問

裁判官「あなたは犯行の原因は旧統一教会に対する恨みや怒り、葛藤の感情と言っていましたが、その感情があなたの母親に向くことはなかったのですか」

山上被告「実際に行うかどうかは別として、母親に向くことはありました」

裁判官「それはいつの話ですか」

山上被告「2021年〜2022年の間ということになります。パイプ銃などの試射をしている期間です」

裁判官「なぜ母親を襲撃しなかったのですか」

山上被告「これまで何度も旧統一教会の幹部の襲撃に失敗しているので、母を殺してそれが発覚すれば、幹部の襲撃ができなくなると思った。また、母の行動は旧統一教会の教義に従ったものですので、母個人(の考え)というわけではない」

裁判官「安倍元総理以外の政治家は狙わなかったのですか」

山上被告「安倍元総理は、私の認識では旧統一教会と政治の関わりの中心にいる方だと思っていたので、ほかの政治家では意味が弱いと思いました」

裁判官「あなたは銃の試射を行う中で、殺人を思いとどまる考えはなかったのですか」

山上被告「考えた事はありますが、銃の製造に多大な費用や時間をかけているので、経済的に追い詰められていた。やめてしまうと、何のためにこんなことをしていたのかと、旧統一教会に負けることになるので、思いとどまることはなかった」

裁判官「旧統一教会の問題について合法的に解決している人もいるが、あなたは被害者救済の弁護士などに相談しなかったのか」

山上被告「弁護士に相談して解決できるのは金銭的な問題。自分の家はすでに(献金額の一部が)返金されているので弁護士に相談して何とかなると思えなかった」

裁判官「(銃撃事件の)現場の状況は当日確認したのか」

山上被告「6月28日(安倍氏が事件前に奈良で応援演説をした日)の近鉄大和西大寺駅の演説の写真を見たときは別の場所だったので、最終的には現場で確認した」

裁判官「襲撃するのが困難だった場合はどうしようと思っていましたか」

山上被告「考えていなかった」

裁判はあす3日も開かれ、弁護側の証人として出廷する宗教社会学者の証人尋問と被告人質問の続きが行われます。