安倍元総理銃撃事件 被告人質問4日目の主なやり取り 昭恵さんも出席 硬い表情で被告を見つめる
2025.12.03 21:03
- 3日、開かれた第13回公判は、山上徹也被告(45)の4回目の被告人質問が行われました。今回は、安倍元総理の妻・昭恵さんが、被害者参加制度を使って初めて出席しました。裁判の後半からは、被告人質問が行われ、山上被告自身の旧統一教会への感情や、襲撃の対象を安倍元総理に決めた理由などが質問されました。主なやり取りは以下の通りです。

- ●弁護側からの質問
- 【旧統一教会について山上被告が思っていたこと】
- 弁護士「2012年に旧統一教会の文鮮明(教団の創始者)が亡くなったことについてどう思うか」
- 山上被告「やっと死んでくれたかと思った」
- 弁護士「(文氏の死後は)教団がどういうふうになっていくと思いましたか」
- 山上被告「2013年は統一教会にとって重要な節目の年だと聞いていたので、その前に教祖が亡くなるというのが教義的にあり得ないこと。信者も相当動揺していたと思うし、(旧統一教会が)停滞していくのではと思いました」
- 弁護士「(教団への)襲撃を決めて以降のあなたの心境は」
- 山上被告「旧統一教会に一矢報いるというか、打撃を与えるのが自分の人生の意味だと思った」

- 【安倍元総理を標的にしたことについて】
- ※山上被告はこの日の裁判で、事件当時、新型コロナウイルスの世界的な流行により、旧統一教会の幹部が韓国から来日し、大規模な会合を開くことは難しいのではないかと考えていたと証言した。
- ●検察側からの質問
- 検察官「被告は何か行動を起こさないといけないと考え、その時に安倍元総理が選挙で遊説することを知ったんですね」
- 山上被告「2021年の動画(安倍元総理が旧統一教会の友好団体に送ったメッセージ動画)を見た後から事件までに、標的の一人とまでは行かないが、頭の片隅には常にあった。(教団幹部の)韓国人の標的が来ないのであれば、誰にするかを考えた時に安倍元総理になった」
- 検察官「襲撃の対象はあくまでも旧統一教会であって、幹部を襲撃できていたら安倍元総理を選んでいなかったのか」
- 山上被告「はい」
- 検察官「安倍元総理を襲撃の対象に決めたことについて、あなたは納得できていたのか」
- 山上被告「あくまでも旧統一教会が(襲撃の)対象ですから、旧統一教会に賛意を示す政治家の中で、最も著名な人はこの人(安倍元総理)しかいないなと思っていた」
- ●弁護士からの質問
- 弁護士「あなた自身は襲撃のために韓国に行くことを考えたことはありますか」
- 山上被告「考えたことはあります」
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- 弁護士「(韓国に)行かなかったのはなぜですか」
- 山上被告「韓国でどうやって襲撃するか、パイプ銃をどうやって持ち込むかを考えたところ、持ち込むより現地で(材料を)調達して、(銃を)作った方が良いと思いました。しかしそうすると、それなりの日数や滞在が必要になり、金銭的に余裕がないというか」
- ●裁判官からの質問
- 裁判官「あなたが旧統一教会の関係者への襲撃を急いでいた理由について聞かせてください」
- 山上被告「経済的に完全に行き詰ってしまう前にやる必要があるというのはありました」
- 裁判官「弁護側の証人・櫻井義秀さん(北海道大学特任教授で宗教社会学者)の証言の中で『山上被告には旧統一教会的なマインドセット(考え方のくせ)がある』という話がありました。あなたの中で旧統一教会の影響を感じたことはありますか」
- 山上被告「意識的にはないです。自覚的にはありません」

- 3日の裁判で安倍昭恵さんは検察官の後ろに座り、静かに裁判の様子を見守りました。被告人質問の際、昭恵さんは山上被告を硬い表情で見つめ、裁判中は発言することはありませんでした。昭恵さんは法廷から出入りする際には毎回礼をしていました。山上被告も一度、それに礼を返しました。
- 4日の裁判は検察側の証人として精神科医が出廷するほか、5回目の被告人質問が行われます。事件当日の心情を被告本人が語ると見られます。