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奈良のニュース
今日を描く 骨肉腫と闘う高校生~来年の桜を一緒に~
2025.09.12 18:51


 この日、奈良市にあるギャラリーで家族展が開かれました。西村岳流さん、17歳。今、骨に発生する悪性腫瘍、骨肉腫と闘っています。

岳流さん

「やっぱりこの『梅雨の日向雨』が一番思い出になっているかなと思います。コンクールで佳作を獲れたっていうのもあったので絵をより深く好きになるきっかけだったと思うのでそれで思い出に残っていますね。」


「西村岳流 KAZOKU展」と名付けられた初めての家族での個展。岳流さんのこれまでの作品を中心に、家族全員の作品が展示されています。一筆一筆、繊細な中にも、力強さを感じる岳流さんの作品。「今を生きる」ことへの思いが込められています。


岳流さんは、2025年4月、県立高円芸術高校 美術科に入学しました。週に1度のペースで通院しながら、体調のいい日は学校に来て、今感じること、見たものをキャンバスに描き続けています。


色彩にこだわりを持つ岳流さん。美術系の大学を卒業した、父・朋也さんの影響で、幼いころから絵を描くことが大好きでした。


中学3年生の秋には、県内の青少年を対象とした「奈良ジュニア県展」で初めて佳作に入選。そんな矢先のことでした。初めは足の違和感から始まり、足に力が入らず、痛むなどの症状が出てきたといいます。そして・・・骨肉腫と診断されました。

岳流さん

「最初はやっぱりそれはショック、衝撃は受けましたけどでも、なんとかなるやろうとは思っていたというか、そんな大したもんじゃないやろうとは思ってました。」


高校受験を諦め、始まった闘病生活。家族にも弱音を吐かず、治療と向き合いました。その後、絵を描きたいという思いがさらに強くなった岳流さんは、美術科のある県立高円芸術高校への受験を決めます。しかし、2025年2月のことでした。

母・千代さん

「病気を治すために抗がん剤頑張ってきたけれど、その最後の薬がもうやっぱり効いていないと。もう抗がん剤も終了して、あとは残された時間を岳流くんの好きなように、生きたいように使ってほしいと思っているという話をしていただいて、来年の桜、春は無理かもしれないというのは言われました。」


岳流さん

「もう頭真っ白っていうか、あまりに、そんな感じだったんで、どんな心境だったとかあんまり覚えてないんですけどショックでしたね。」


岳流さんは7月から、抗がん剤治療などをやめて、緩和ケアを受けています。常に真剣なまなざしの岳流さん。2年前に発症した「骨肉腫」と闘う中で、絵に対する思いに、変化がありました。

岳流さん

「(病気に)なる前は、自分が趣味程度というか、自分が満足するために描いていたみたいな部分はあるんですけれど。 今は自分の作品がより多くの人に見てもらえたらなっていう思いがありますね。」


治療を続ける中でも表現することをあきらめない岳流さんの作品を一目見ようと、個展初日の9月5日、予想を超える多くの人が足を運びました。


父・朋也さん

「こういう病気にかかっても、前向きに生きている人間がいるよというのを皆さんに見ていただけたらなというので、なるべく早く個展を開きたいなと思って今回開催させていただけるようになりました。」


ひとつひとつに思いが込められた作品は、辛い治療の合間に、筆を手に取り、表現したもの。その様子を近くで見ていた看護師も、会場に訪れていました。

入院中の担当看護師

「一回も弱音を吐かずに、治療されていたのでそれを考えたらすごく熱くなりますけれども。素敵な絵ばかりです。」


岳流さん

「僕の絵を見て、少しでも励みになってくれたりしたらすごい嬉しいですね。一つでも多くの絵を描きたいし、自分を表現できる絵を描いていきたいなと思いますね。」


個展には母・千代さんが家族の夢を描いた、一枚の作品が展示されています。


母・千代さん

「絶対に一緒に桜を見たい、という思いを込めて、桜の絵を描きました。」

岳流さん

「一緒に桜を見たいなと思いますね。」

父・朋也さん

「満開の桜見ような。」

作品が、生きる記録として、そして誰かの生きる希望になればと、支え続ける家族と共に、岳流さんは、今日を描いていきます。